マニアックな内容ながら、意外とご要望を頂いた種類株式。
今日は「優先配当株式」について解説します。
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優先配当株式とは
優先配当株式はその名の通り、配当が(普通株式に比べて)優先される株式のことです。
優先される方法としては、
①累積型か非累積型か
②参加型か非参加型か
といった2つの観点があります。
①累積型か非累積型かというのは、十分な利益を計上できず、優先配当の全額が支払われなかった場合、その不足分を翌年度以降に繰り越すことができるか否か、ということです。
累積型なら不足分は繰り越され、非累積型は切り捨てられます。
②参加型か非参加型かというのは、優先配当の支払いが優先配当株主にされたあと、普通配当の配当についても優先配当株主が受けられるか否か、ということです。
参加型であれば、優先配当株主は、優先配当だけでなく普通配当も受けることができますが、非参加型だと普通配当は受けられません。
スタートアップにおける利用価値
スタートアップ文脈における「優先株」とは、この優先配当株式ではなく、次回説明する優先残余財産分配株式のことを指すことが多いと思います。
スタートアップにおいては、配当する余裕があれば、それを再投資に回せというのが株主の意向でもあるからです。
では、スタートアップにおいて優先配当株式に利用価値がないかというとそうではありません。
優先配当権のついた優先配当株式は、普通株式よりも価値が高いはずです。
したがって、優先配当株式で資金調達をすることで、高い株価での調達が可能となります(少なくとも筋は通ります)。
高い株価で調達できれば、その分希薄化を抑えることができますので、スタートアップにとってはメリットです。
さらに投資家にとっても、赤字傾向のスタートアップの優先配当株式を累積型として発行し、かつその累積額をM&A時に(次回説明する優先残余財産分配として)清算するという設計にすればメリットがあります。
というわけで、次回は優先残余財産分配株式について説明したいと思います。
これも超重要論点です!