いつまで続くんだと、あきれられているとウワサの種類株式シリーズ。
今日は取得請求権付株式です。
取得請求権付株式とは
取得請求権付株式は、株主が会社に対して株式の取得を請求できる権利が付いた株式です。
今日もトートロジー全開ですが、ちょっと注意が必要です。
それは、株式の取得を請求できるのは「株主」ということです。
取得請求権付株式によく似たものとして、次回説明する「取得条項付株式」というものがありますが、こちらは「会社」が株主に対して強制的に株式を取得できる権利が付いている株式です。
間違えがちですよね(もちろん、僕も)。
スタートアップにおける効用
スタートアップにおいて、取得請求権付株式を使う効用としては、出資者にイグジットの機会を与えられるということです。
IPOやM&A以外のイグジットを用意することで、出資者は投資しやすくなるというメリットがあります。
特にファンドの期限内に、株式を金銭に変えておきたい投資ファンドなどには重要視されます。
一方で、スタートアップには買取のプレッシャーがかかることになりますので、どのような時に請求権を行使できるようにするか、設計の際には十分な議論が必要だと思います。
対価とその影響
会社が株式を取得するときの対価は、金銭だけでなく、例えば普通株式や他の種類株式、社債、新株予約権など、いろいろな設計ができます。
金銭を対価とするときには、分配可能額の範囲内で行う必要がありますから(財源規制)、赤字基調になりがちなスタートアップにおいてはそもそも買取ができないことも多いです。
また、事業譲渡や分社型分割をした際には、その対価は会社に入りますが、会社が得た対価を株主に分配する手段として、対価を金銭とした取得請求権の利用が考えられます。
一方、対価を普通株式にした場合には、財源規制は気にしなくて良いですが、株主の権利関係が変化しますので、それが資本構成に及ぶ影響を考慮する必要があります。
P.S.
またまた受験時代のネタ。
取得「請求権」付株式は「株主」からの請求、
取得「条項」付株式は「会社」からの請求で株を買い取るものでした。
これを混同してしまうのを防ぐため、当時は「請求」を「性急」と言い換えて、「せっかち(性急)な株主」と覚えていました。