扇子: 先生!私の友達が、今度ネイルサロンを開業しようとしてるんですけど、いつまでに何をやればいいか悩んでいるみたいなんです…。
オオノ先生: たしかに、開業までにはたくさん準備することがありますからね。でも、準備に必要なことやそれにかかる時間は、たとえ同じ業種であったとしても、ビジネスモデルや現在の状況などによって大きく違いますから、一概にいつまでに何をするっていうのは言えないんですよね。
扇子: そうなんですか…。でも、私、何か力になりたいんです!
オオノ先生: それじゃあ、今回は事業計画、資金調達、物件取得という3つのポイントに絞って一般的な所をお話ししましょうか。
扇子: お願いします!
まずは事業計画書を作ってみる
オオノ先生: まずは事業計画書の策定ですよね。事業計画書を作ることで、事業の概要や市場分析、マーケティング戦略や財務計画等を整理して、どういう目的で何をやりたいのか?っていうことをはっきりさせていきます。
提供する商品、サービス、技術や、それらの提供方法にどういった特徴があるのかとか、どういった優位性があるのか、それが顧客のニーズにどういう風にマッチするのか、みたいなことを事業計画書でしっかり説明していく必要があるかなと思います。
扇子: なぜ、事業計画書を最初に作るんですか?
オオノ先生: 最初に作るというより、「作りながら考えて動いていく」という感じですかね。事業計画を作ることによって、どんなことを考えるべきかが明らかになると思いますから。
扇子: なるほど!
事業計画書に記載すること
一般的に事業計画書には、以下のような内容を記載します:
・事業の概要:事業内容、提供する商品・サービス、ターゲット市場。
・市場分析:市場の現状、競合分析、ターゲット顧客のニーズ。
・マーケティング戦略:販売方法、価格設定、広告・プロモーション戦略。
・運営計画:組織構造、役割分担、運営スケジュール。
・財務計画:収支予測、資金調達計画、損益計算書、キャッシュフロー計画。
事業計画書を作成することで、事業の全体像が明確になり、必要なリソースや課題が整理できます。
希望額を調達できない場合の計画も立てておく
オオノ先生: 計画が固まったら、それをもって金融機関から創業資金の調達を行います。金融機関から借り入れで準備する場合、申し込みから資金調達ができるまで、 早くても1か月くらい、通常であれば2か月ぐらいは見ておいた方がいいかなと思います。
扇子: 結構時間がかかるんですね!
オオノ先生: しかも、必ずしも希望通りの金額を資金調達できるというわけではないんです。希望通りの金額が調達できた時の計画だけではなくて、調達できた金額によって、中古設備を購入したりとか、リースをしたりとか、そういった形で、Bプラン、Cプランみたいなのを用意するということも非常に重要ですね。そうしておけば、いざという時に慌てないで済みますから。
その上で、創業当初の収支予測とか、それから軌道に乗った後の収支予測っていうものを立てていくと良いと思いますよ。
創業融資で減額される理由
創業融資で減額される代表的な理由の一つは、事業計画書の内容が不十分である場合です。収支計画が現実的でない、具体的な売上予測やコスト管理が甘い、マーケティング戦略が不明確などが原因となります。
また、経営者の信用力に問題がある場合も減額の理由となります。過去の金融事故や多額の借入金があると、返済能力に対する信頼性が低下します。このほかにも様々な理由があり、減額される可能性があります。ご心配な場合は、事前に専門家の確認を受けるようにしましょう。
物件取得には不動産業者との交渉期間も考慮する
オオノ先生: 店舗型のビジネスの場合は物件探しも必要になってきますから、準備にはさらに時間がかかりますね。
扇子: 私の友達も、良い物件が見つからないって、苦労していました…。
オオノ先生: そうですね。場所や広さ、賃料、条件などによって物件探しの期間は異なりますけど、一般的には1〜3か月程度かかると思います。
あと、物件探しでは、不動産業者との交渉もありますし、支払いと融資のタイミングを調整する必要もありますから、そういった準備期間も考慮しておいた方が良いですね。
扇子: 支払いと融資のタイミングを調整するってどういうことですか?
オオノ先生: 早めに物件が見つかったとしても、手元にお金がなければ初期費用を捻出できないこともありますよね。工事や設備などにも言えることですが、融資でこういった費用をまかなうことを考えているのであれば、融資の申込と契約・支払いのスケジュールはワンセットで考えないといけないんですね。
融資と支払いのタイミング
物件取得に限らず、賃貸の場合や内装工事、厨房機器等でも納品と支払のスケジュールを調整する必要があります。融資のタイミングと工事や機器の購入のタイミングを合わせる理由は、資金ショートを避けるためです。
例えば、飲食店を開業する際、営業許可を得るために厨房機器が必要です。しかし、その厨房機器を購入するために融資を受ける必要がある、という場合もあります。そのような場合は、交渉&見積書をもらう→融資申込→厨房機器を店舗に置く→飲食店許可を取る→融資が実行される→代金を業者に支払うといったスケジュールを調整し、準備を進めていく必要があります。