種類株式その⑨ 役員選任権付株式 ファイナンス・トーク

種類株式シリーズ、最後は役員選任権付株式です。

役員選任権付株式とは

役員選任権付株式は、(普通)株主総会の承認を経なくとも、役員選任権付株式を持つ株主の種類株主総会の決議のみで役員を専任することができる株式です。

この場合、役員とは、取締役や監査役、監査等委員会設置会社の監査等委員である取締役やそれ以外の取締役を指します。

役員選任権付種類株式は、指名委員会等設置会社ではない非公開会社のみが発行できます。

スタートアップにおける活用

スタートアップ文脈での使われ方としては、持ち株比率から役員の選任に関与できないVCに対し、役員選任権付株式を発行することで経営に参画しやすくし、資金調達を円滑にするなどの方法が考えられます。

また、事業承継などの場面で、株式が分散してしまいそうな場合に、全ての役員を選ぶことができる株式を経営株主が保有することで、実質的に経営権を確保することも可能です。

なお、この種類株主総会で選ばれた役員は、種類株主総会でしか解任することができません。

ようやく、種類株式シリーズ終わりました!

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公認会計士・税理士
セブンセンス税理士法人 ディレクター

大学卒業後、有限責任監査法人トーマツへ入所。
金融インダストリーグループにて、主に銀行、証券、保険会社の監査に従事。
​トーマツ退所後は、資金調達支援、資本政策策定支援、補助金申請支援などで多数の支援経験を持つ。
また、スタートアップ企業の育成・支援にも力をいれており、各種アクセラレーションプログラムでのメンタリングや講義、ピッチイベントでの審査員および協賛などにも精力的に関わっている。