脱サラで農業を始めるために、850万円の融資を受けた事例

私たちが融資の支援をさせていただく方の中には、サラリーマンから起業を目指すというケースもあります。そのような方の多くは、自身の夢を実現するために、サラリーマン時代から着々と準備を進められています。
しかし、いざ事業を開始しようと金融機関の融資担当者に相談を持ちかけると、あまり良い顔をされずに心配になってしまったという事もあるようです。

そんな時でも、しっかりとした事業計画書をつくったうえで審査を受けることで、融資を受けられる可能性があります。

なぜなら、融資の審査は窓口の担当者個人がおこなうのではなく、金融機関が組織として実施しているからです。たまたま相談した窓口の担当者が“難しい”と判断しても、それはあくまでも担当者個人の意見に過ぎません。
また、数値による具体的に説明が無い状態では、その事業の正しい評価はできません。

この記事でご紹介する事例では、ご依頼者様が脱サラで農業を始めるために金融機関に相談し、難色を示されている状況でした。
しかし、私たちの支援で数値計画を作り融資に申し込んだところ、850万円の融資を受けることに成功しています。

この記事をご覧いただくことで、事業計画が無い状態で金融機関に相談し、難色を示されてしまったとしても、あきらめる必要はないという事もご理解いただけると思います。
また、農業という事業の特徴や、融資制度についても知識を深めていただけると思います。
是非、この事例を参考に、資金調達にチャレンジしてみてください。

農業のならではの事情を考慮した成功のポイント

今回の事例で融資を獲得できた理由は、わかりにくい農業の売上特性を数値で説明できたことです。
農業は、作物を育てて出荷するまでの一定期間は売上があがりません。
季節性があり、生産する作物によって売上がある時期と無い時期が分かれてしまうため、このような特性が分かるように計画を作成していただきました。

また、融資の成功ポイントではありませんが、農業ならではのある理由から、金融機関の申込先を変更するという対応が必要になりました。
これも結果的にDさんの事業そのものを成功させるうえでのポイントになったのですが、そちらは実際の事例でご確認ください。

実家の農業を引継ぎ脱サラ。果物栽培への転換のため、資金が必要に。

ご依頼いただいたのは40代のDさんで、農業を始めるまでは会社員をされていました。
ご実家で農業を営まれていた両親が高齢になり、当初はそれを引き継ぐ形で農業をスタートすることとなりました。
もともとは野菜を中心に生産をされていたそうですが、利益率が低く、事業継続に課題を感じていたようです。

そこでDさんは、より利益率の高い果物に着目。
試験的に生産を開始し、出来上がった果物を店舗に卸すなどして、少しずつ作物の販路も開拓していったそうです。
その成果もあり、取引先からより多くのオーダーをいただけるようになったDさんは、果物生産への転換を決意。
より多くの作物を生産するための資金を調達するために、日本政策金融公庫の担当者に相談を持ちかけました。

しかし、相談を受けた担当者の返事は良いものではありませんでした。
不安を感じたDさんは、直接融資の申し込みをすることはせず、私たち融資の専門家にご相談いただくこととなりました。

作物栽培開始時期から、申込先事業部の変更をアドバイス

Dさんの状況をうかがい、まずは必要になる資金を整理してみました。
その結果、新しい果物の生産には、人件費や生産に必要な原価の合計で1,000万円程度が必要となる見込みでした。

またDさんの事業について詳しくヒアリングしていくと、1つの問題があることがわかりました。
一般的に農業をおこなう場合の融資の窓口は、日本政策金融公庫の『農林水産事業部』という部署になります。
そちらで融資を申し込む場合には、『認定新規就農者』という市町村の認定を事前に受ける必要があるのですが、作物の生産開始の時期を考えると、この認定を取得してからでは間に合わないのです。

認定新規就農者制度は、新たに農業を始める方が作成する青年等就農計画を市町村が認定し、その計画に沿って農業を営む認定新規就農者に対して重点的に支援措置を講じようとするものです。青年等就農計画を作成・申請するには、市町村への相談等を受けながら進めることになり、計画の作成〜審査までは数か月程度かかることもあります。認定新規就農者制度についての詳細はこちらをご確認ください。

そこで、今回のケースでは融資を日本政策金融公庫の『国民生活事業部』に申し込むことをご提案しました。認定新規就農者として融資を受けることのメリットはおおきいのですが、融資の時期が遅れてしまうと作物の生産自体ができなくなってしまいます。
国民生活事業部の扱う創業融資では前述した認定は不要ですので、今回のケースではこちらを提案をさせていただきました。

事業計画では、作物ごとの収穫時期と見込みの収穫量、販売単価から、60か月の数値計画に落とし込みました。
これによって、作物を生産し始めて最低1年程度は売上がたたないことや、作物の収穫時期によって売上が大きく変わることなどを可視化でき、それでも十分に事業を成立させられることも説明できるようになりました。
日本政策金融公庫の担当者に相談したときにはこのような計画もありませんでしたから、事業に対する正しい評価ができなかったことも、難色を示された理由となっていたのかもしれません。

このような支援をおこなった結果、Dさんは無事融資を受けることができました。
資金調達に成功したDさんは、スケジュール通り果物の生産を開始することができました。

まとめ

今回の事例では、農業という事業の特性などもあり、それらを考慮した支援をさせていただきました。

初めて融資に臨む場合は、金融機関の担当者に難しい顔をされてしまうと、融資をあきらめなければならないと思ってしまうのではないでしょうか。
しかし今回の事例のように、専門家にご相談いただくことで、道が開かれる場合もあります。
もし、金融機関への相談で難色を示されたとしても、あきらめることなく、融資の専門家にご相談いただくことをおすすめします。

※本コラムは実際にセブンセンスグループで支援したケースをもとに作成していますが、企業が特定されることを防ぐため、趣旨が損なわれない範囲で一部架空の内容を交えています

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